店長は管理職か?

先ごろ、ハンバーガーチェーン直営店の店長を管理職と見なして残業代を支払わないのは違法であるとの判決がありました。 最近では、同様な判決が紳士服販売店、家電販売店などでも相次いでいます。

労働基準法では、管理・監督の地位にある者機密の事項を取り扱う者監視・断続労働の従事者で許可を受けた者は、労働時間休日休憩の規定の適用が除外されます。ここでの管理・監督者とは、 労働条件の決定などの労務管理について経営者と一体的な立場にあり、出退勤について厳格な制限を受けない地位の者とされています。

世間一般的な認識では、店長ともなれば管理職であると見なされるかもしれませんが、過去の判決では店長といえども労務管理について権限 を持ち、出退勤に自由があり、仕事の内容や地位に見合った待遇を受けていなければ労働基準法上での管理・監督者とは見なされず、 残業代の支払いの対象となります。

人件費の圧縮のために、管理職でもない社員に名目上だけの役職名を付けて都合良くただ働きをさせることは論外ですが、店長等が管理職であるために「店長手当」 などの手当を支給することによって残業代の代わりとするケースでも、本来支払わなければならない毎月の残業代が、手当の額を超えてしまうような場合は 人事労務管理上に、かつ残業時間が長時間に及ぶときは、安全衛生管理上にも問題があるといえます。

今回の報道では、私の知る限り残業労働が深夜に達することに対してまで言及している新聞もテレビもありませんでしたが、仮に店長が労働基準法上に管理・監督者と見なされた場合でも 深夜労働年次有給休暇の適用は除外されませんので、店長の労働時間が夜10時〜翌5時に渡ったとき には深夜割増賃金の対象となることにも注意が必要となります。

2008年3月


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