労働時間、賃金の端数計算について
全国展開している居酒屋チェーン企業の大阪の2店舗で、アルバイト店員の勤務時間を1分単位で記録せずに30分単位で端数を切り捨て、 正当な賃金を支払っていなかったことにより労働基準監督署から是正勧告を受け、未払い賃金を支払ったという報道がありました。 2005年にはハンバーガーチェーン企業でも、同じ理由で労働基準監督署から是正勧告を受け、同じく未払い賃金を支払っています。
時給で計算するアルバイトのみならず月給で計算する正社員であっても、遅刻、早退等による控除、 あるいは残業等による割増賃金の計算のときには労働時間に分単位の端数が出てしまいますが、 このような場合の取扱いについて行政は次のような通達を出しています。
5分の遅刻を30分の遅刻として賃金をカットするような処理は、労働の提供のなかった限度を超えるカット (25分についてのカット)について賃金の全額払いの原則に反し、違法である。 なお、このような取扱いを就業規則に定める減給の制裁として、労働基準法91条の範囲内 (1回の減給の制裁額が、1日分の平均賃金の半額を超えてはならず、 総額が1賃金支払期の賃金総額の10分の1を越えてはいけないということです。)でおこなう場合には、 全額払いの原則には反しない。割増賃金の計算における端数処理については、1か月における時間外労働、休日労働、深夜業 の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げることは、 常に労働者の不利となるものではなく、事務簡便を目的としたものと認められるから、違法として取り扱わない。 (1日単位の切捨て、切り上げは違法だが、1か月単位であれば違法ではないということです。) ・・・・・昭和63.3.14 基発第150号より抜粋
タイムレコーダーやパソコンの出退勤管理システムソフトなどによっては、時間計算を簡単にするために5、10、15、30分等の分単位 で切り上げ、切捨てをする“丸め”機能を有し、それを使用することにより事務手続きが簡略 できるとしているものがありますが、利便性だけを考えて遅刻控除、残業時間等を丸め単位 で日々計算してしまうことは、上記通達から見れば労働基準法違反となりますので、是正勧告の対象となりかねず 注意が必要です。
2008年6月
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