社員が裁判員に選ばれたときに

平成21年5月21日から裁判員制度が実施されます。裁判員制度とは、国民が裁判員として刑事裁判に参加し、被告人が有罪であるか、 有罪である場合どのような刑にするかを裁判官と一緒に決める制度です。裁判員の選考方法はくじによるもので、 一部の例外を除けば20歳以上であれば誰もが選ばれる可能性があります。裁判員として裁判に参加するのは来年の5月21日以降ですが、 裁判員候補名簿は前年に作成するため、裁判員候補に選ばれた人には12月頃までに通知が来ます。では、従業員 が裁判員に選ばれた場合に会社はどう取り扱えばよいのでしょうか。

社員が裁判員に選ばれ仕事を休むことになれば、業務に支障が生じることは程度の差はありますが確実にありますので、 裁判員を辞退させることができないかを考えると思いますが、辞退できる、できないは会社ではなく裁判所が判断します。 とても重要仕事があり、社員自身が処理しなければ著しい損害 が生じると裁判所が認めた場合には辞退が認められますが、仕事が忙しいだけでは一般的に辞退できないようです。

また会社が辞退を強いることもできません。労働基準法では、「労働者が労働時間中に、 選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては拒んではならない。」 との公民権行使の保障が定められているため、社員が裁判員になるための休みをとることを拒むことはできませんし、 そのことにより解雇等の不利益な取扱いをすることは、裁判員法でも禁止されています。

社員に裁判員のための休みを与える義務はありますが、その間を有給休暇とすることまでは義務付けられてはいませんので有給にする、 しないは会社の任意です。有給にするかどうか、休みが勤続年数年次有給休暇などの計算時に出勤したものとして扱うかどうか等を整理し、 就業規則に追加する必要がありそうです。

2008年10月


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